風の音
風の音がする、とても強い音だ。
強くて、恐怖を感じさせる音。破壊的な音。怒りを感じさせるような音。
いや、本当に怒っているのかもしれない。
あまりにも「何か」を感じさせるその音に呼び出され、僕は自分の部屋から出、玄関扉を開け、外に出てみた。
立っていることはできる。雨水が身体全体を叩きつけ、風に揺さぶられるが、「外にいるだけ」なら物理的になんの問題もない。しかし、「精神的に」何かここにいてはいけないような気がして、僕は家の中に戻った。
「こっちへ来るな」
まるでテレパシーのように、僕は自然からのメッセージを受け取ったのだ。その瞬間、心的に僕たちは同一化していた。台風に、「心」があるように僕は、感じていた。